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写真撮って、日記書いてます。

とある出版社のこと

雪とレンズ

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とある地方の某出版社が倒産したという話をTwitterで知った。昔、ちょっとした仕事で関係のあったところだ。

ムック本なんかにも取り上げられていた小さな会社。あえてここでは名称を出さないでおく。「シリーズものの写真集だしてるところ」といえばわかる人はわかるだろう。

 正直、いい思い出がない会社だった。なんせ編集が地元の人間をいいように利用して本を作らせる所だったからだ。原稿料なんて概念もなく、こちら側が要求してはじめて額が決まるようなものだった。

しかも、編集者によって言ってることが正反対で、最初は「こちらの自由にあれこれ出来る」という話だったのに、フタを開けたら「マニュアルに従ってください」というものだった。どういうことだと聞いても、変更できませんの一点張り。

だからこちらも頭にきて「もう出しませんよ、正式な契約も結んでないし」なんて言ったらあわてて担当が飛んできて「紙は最高級のものを用意します!」「校正締め切りはそちらで決めて結構です!」とかいって編集代としていくらかの金を持ってきた。

こちらの要求が通ったと思ったけど、ここでもまた裏切られた。最高級の紙とかいうのは嘘で、ほかの地域で出されているものと変わらないものだった。光沢のある厚手のもの。正直、あの紙だと光沢の照り返しでよくないと思うんだけど…まぁそこはあちらのセンスなのでどうしようもない。

笑ってしまったのは、200日ほど夜をこの仕事に当てて、両手分くらいしか編集代としてもらえなかったことかな。10人くらいで作ったのでその程度になってしまったが、本は1冊1万円で1000冊以上予約完売という話だったので、紙代印刷代さっぴいても出版社はそれなりの利益になっていたはずだ。なんせ写真の収集から原稿の執筆、並び順までこちらが決めて、あとは向こうがテンプレートに流し込んでレイアウトするだけ。テンプレートあるからな、順番さえ決まれば簡単なはずだ。

まぁこちらも編集会議のごたごたとかあって申し訳無かったけれど、このおかげで「編集者」は胡散臭い存在だと思うようになった。もちろん、きちんとした方も知っているけれど、そうでない人のインパクトが大きすぎた。

今考えれば、これだけのことやってたってことは自転車操業に近い部分があったんじゃないだろうか。編集者も会社の方針に従っていただけなんだろう。あとで知ったことだが、それこそ全国各地の地方地方を狙って出版話を持ちかけていたらしい。それだけ同じ方法で乱発してどうするよ…としか言いようがない。実をいうと私が携わったものの10年近く前に、同じ所から似たようなコンセプトの写真集がでている。その頃からこの方法が確立していたんだろうか。

 

今となってはほんとが何かわからないけど、一報を聞いていろいろ思い出して考えてしまった。あまり思い出したくない思い出だ。