兵庫県立美術館に行ってきたぞ
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博物館学・文化史学の師匠の教えのひとつに「時間はないんじゃない、作るもの」というものがある。忙しい忙しいって愚痴ってたらそう諫められたのを今でも覚えている。
そんなわけで、時間を無理やり作って行ってきたぞ。ほんとはもう少し余裕をもって作りたいもんだわ…。
こちらに引っ越してきてはじめての「県立」美術館見学。JR灘駅、阪神岩屋駅から海側に数分歩いてたどりつく。交通の便は非常にいい。ポケモン探しながら15分くらい歩いたかな、あっという間にたどり着いた。
しかし館内の構造が複雑な部分があって、たとえば今回は歩道橋を渡って2階から館内に入ったんだけど、チケットブースまでなかなかたどりつけない。公開講座用のアトリエなんかを傍目にしながらうろうろ歩いてようやくメインエントランスについた。
今回は「藤田嗣治展」を見てきた。
乳白色が特徴的な絵で、一時期熊本に住んでいたこともあってか、熊本でも展覧会が数回開かれていて、そのとき知った画家。この展覧会ではフランス渡航前、渡航後、日本へ帰国後、再びフランスへ、という大まかにいえば画家の生涯にあわせて、その時々に描かれた作品を展示していた。
画家のおかれた状況というか、精神的な面が絵の方にも表れていて、フランス渡航前の画壇に認められなかった時代の作品なんか重々しくてかっちりしてて、息が詰まりそうな絵ばかりなのが、フランスにわたって自分の作風(乳白色の技法)ができてからはずいぶん明るくなるし線も柔らかくなるし、世界恐慌後の世界旅行時代、日本への帰国になるともう色も重いし、内容が内容だし、でまたしても息が詰まる。戦争画の『アッツ島玉砕』も今回出展されてて初めて見たけど、あれはでかいうえに色が暗いし、それまでの画家の絵とはずいぶん雰囲気が違う。見てるうちに何か吸い取られそうだった。
戦後はまたフランスに戻って、昔人気だったときの作風に戻したり、自分で教会作ったりしたことが紹介されていた。昔の作風に戻せるんだ、色も雰囲気も1920年代のそれとそっくり同じように見えた。というか、コロコロ作風を変えられる(変えて描いたように見えただけなのかもしれない?)のは、基本的な部分がきちんとしているからなんだろう。
あと気付いたのは、乳白色といいながらところどころ暗い色がうっすらと使われているところ。黒とか。影のような影でないような、なんといったらいいかわからないけどそういうものがはいってること。これがあるからのっぺりした感じにならないのかな。
作品のなかには輪郭線と背景があいまいになっているものもあって、すごく幻想的だった。なんだろ、こういう言葉しか感想として出てこない時点で語彙が貧困なことを露呈している…。
なにはともあれ、非常に満足。
今回の戦利品
今回は控えめにポストカードとマグネット。ポストカードは第二次大戦前に描かれた『五人の裸婦』。マグネットは戦後に描かれた『小さな主婦』。ほかに売られているものがミニ額縁とか複製版画とかそういうもので(しかも高額)、さすがにそれまでは手が出ず。図録は購入するか逡巡した結果、もういちど来たときに購入することに。そう、作品が多く、人もそんなに多くなかったからもう一度じっくり見ることができるだろうと思ってるのだ。
ちなみにこの戦利品、ハガキの方は職場の机のデスクマットに、マグネットは抽斗の方に貼り付けて飾ってます。案外気づかれない。
そういや熊本の家から持ってきたこういうグッズはどこにいったっけ…またダンボールをひっくり返さなきゃ。
今回は同時開催の「県美プレミアム」は未鑑賞。こっちも面白そうな内容だけあって、やはりもう一度行く必要があるようだ。
「ユニバーサルミュージアム」に興味あるし、なにより「どんな感じ」なのかをとても知りたい。
また時間作らなきゃな。