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生まれて初めて奥能登という場所に来た。奥能登？あ、いや、もしかしたら思い違いかもしれない。とにかく能登半島にいるのは確かだ。
そしてとてもいいところだった。やはり海が見えるところはいい。
金沢は個人的な研究の関係でよく行くので、何となく勝手が分かってきたのだが、能登半島となると話は別だ。全く知らない場所ばかりで、何がどうなっているのかよく分からない。分かるには滞在日数が少なすぎるので、今後も定期的に立ち寄りたいと思ったり。
ていうかですね、海が見えてしかも凪の海が見えて、かなりいい場所だなあと思ったわけで。何というか、これまで住んだことのある海沿いの町によく似ていて、懐かしいなと思った。懐かしいような、それでいてすごく新鮮なようで。
たまたま今日は凪の海だったのかもしれないし、何なら秋口で雪が無い状況だったので、ていうのがあるかもしれないのだが、個人的にはこの町に住んでもいいなあ、いい感じの空き家があれば住みたいなあとすら思える場所だった。やはり海が見えるのは気持ちの面でもすごく落ち着く。
が、お店とかそういうのもあまり見られなかったので、暮らしていくには少し大変かもしれないかネット回線があって、寒さに対応できる住処があれば話は別だが。
住むとしたらたぶん妻は着いてこないと思う。娯楽も知り合いもいない環境だし、それは彼女に取って厳しいだろう。もし住むとしたら単身赴任的な感じだろうな、と取らぬ狸のなんとやらで妄想している。静かに原稿書きたい時にこっそり来て、海見ながら原稿書くとか、缶詰になりながらやるにはいい環境だなと思う。
地震の影響が無ければ、だけど。
今回見たところでは、まだ復旧してないところが多かった。取り壊した家屋は多くて、空き地になった場所をいくつも見たが、取り壊した場所に新しく何か建てようとか、活用しようとかそういうのは少なかった。晩ご飯を食べに入った居酒屋は工事関係者も多く来ていたが、自分たちだったらどこをどうすれば良くなるかで盛り上がっていた。そのくらい、まだ復旧は先だなという感じだった。
だいたい、24時間営業のコンビニが1軒しかなくて、もう1軒は時間制限があったところを見ると、人も物流もまだまだ完全ではない、むしろ手を打つところがたくさんあるんだろうという気になった。
なんてことを言っても、わたしにできるのは限られていることなので、居酒屋でなるべく多くお金を落とし、明日帰る前にお土産物をなるべく多く買って帰ることくらいだ。地元にお金を落として帰る。熊本地震に被災した人間なので、なるべく復旧に協力したいという気持ちはあるのよ。大変な思いをしたっていうのがあるので。
とはいうものの、じゃあどんなお土産があるのかなと思うと全く知らないのである。これは…これは今後金沢に行く際に足を伸ばして能登の方にも立ち寄らなきゃならないな。
幸い、今回の旅で知り合いになった方がおられるので、今後はその人にもちょこちょこ連絡を取りつつ、行ける時に行きたいと思う。
そのうち「夏季限定」の秘密基地も確保できればいいなあと思ったり。
一応明日帰る予定なのだが、慌ただしいなあと我ながら思う。仕事であれプライベートであれ、次に来る時はもう少し落ち着いて来たい。できればあと1日くらいはここで海を見ながら過ごしたい。
そんなことを思った。また来たい。
