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指定管理とかいう制度のもとでやってる博物館の人に聞くと、次年度の展覧会のことでだいたい上からは集客を求められるんだとか。コスパの高い展覧会を、というのが実際のところだそうです。何に対してもそうだよねー最近の社会ってやつはねー。話を聞きながら思ったけど、果たしてそれでいいのかなとも。
人が入る展覧会って難しいような感じだけど(東京は何かしらやってても人が入るからうらやましい)、地方だと
・テレビに出ている人
・教科書に載っているような有名な作家、作品
・サブカル系
ていう条件だと割と人が入るようです。だいたい2万人くらいは入るみたい。
特にいまだにテレビの影響力は地方では大きくて、日曜美術館とかの美術番組だけでなく、バラエティ番組とかそういうのにちょっと取り上げられたような人でも人がどんどこ入ると聞いてます。作家が存命ならなおさら。会場にいつ来るか、いつ顔を出すのかという問い合わせが殺到するんだとか。はあーすっごいね。
そして物販で稼ぐなら、
・40~60代の男性
・サブカル系(アニメ、漫画、特撮等)
だと、割と高額商品でも購入するし、割引とか使ったりしないようです。女性は反対にお財布ひっくり返して割引券探したりするんだとか。女性向けのサブカル系展覧会でも同様に高額商品が売れていくのかな、その辺は詳しいことは聞いてみないとわからないけど、とにかくこの「サブカル系」ってやつを狙うと、入場者数も増えるし物販も売れるし、でウハウハになるらしいです。往年のファンを中心に、ていうやつ。
ただねえ、学芸員やってると「果たしてそれでいいのかな」とも思うんですよ。先述もしましたけど。博物館・美術館が立っている地方と何ら関係のない展示をやっていいものかと。
学芸員としては、自分とこの作品や資料をきっちり研究して展示してってのをやるのが理想だしそういう風に大学でも学んできたけど、そういう展覧会に限って人が来なくて閑古鳥鳴いてるものになりがち。
あれなんなんだろうね。「見せたいもの」と「見たいもの」が噛み合わないてのはわかるんだけど、いつごろからその齟齬というか、そういうのが出来上がって「興行的側面」(と言っていいのかな)が強く出るようになったのか。
新聞社やメディアと組んで開催する展覧会はモナリザ展ぐらいからと聞いたことがあるけれど、そこが発端なのかな。そう考えると、まだまだ「見世物」と大差ないのかもしれない。
その辺はちょっとこの本にくわしいかも。
もう少しこう、展覧会を開催する意義とか、そういう部分を掘り下げて考えていかないとダメだとは思います。
思いますが、そういうことをやっている暇はもうないんだろうな、とも。「余裕がない」と一言でいえばそうなりますが、余裕を楽しむための展覧会とか博物館・美術館が、そのような状況に置かれているのが残念でなりません。