生まれて初めて「故人を語る会」というものに出席してきた。今年の4月に亡くなった知人を偲ぶ、というか思い出話をしましょう、というもの。集まったのは100名程度でいろいろな立場の方々。故人の交友関係の広さを物語っていた。学生の私とその方との接点は、大学で行われている研究会だった。と、書いてみるが実際のところ詳しく知っているという訳ではない。謎の多い人物だった。昨日初めてその方の本当の職業を知ったくらいである。謎の多い人物だと思ったのには他にも理由があって、本当に色々なところへ旅に出かけられて、いつ休んでいるんだろうとかいつ原稿を書いているんだろうか、と思わせるような人だったのだ。研究会でお会いすると「昨日はどこそこまで行ってきました。明日はどこそこまで行ってきます。」なんて笑顔で仰っていたのが印象的だった。
学生で参加したのは研究室の院生と学部生で、受付の手伝いも行った。そういえば…この方の出版記念パーティーでも私は受付をやっていたなぁ。なんとも不思議な気持ちであった。
語る会が終わった後、一人で通町筋にあるコーヒーショップへ行った。酔い覚ましのコーヒーを飲みながらその方の遺著となった本を読んだ。読みながら、ぼんやりと亡くなったその方のことを考えた。